ウィリアム・ティンダル − ある聖書翻訳者の生涯
David Daniel 著、田川建三訳
2001年1月初版第1刷発行、勁草書房、8400円
2001年5月末第2刷発行
A5判788頁+索引等45頁
定年退職後、 翻訳の仕事なんぞは先に片づけてしまえ、 と思ってはじめたのですが、
2年近くかかって、 ようやく出版しました。 前著に引き続き、この分量ですので、疲れました。本文のみで原稿用紙換算約1500枚。しかし、註、訳註が非常に多く、加えて訳者後書きが約100枚。索引もちょっとした分量。この部厚さになると、本を書くという行為は、体力勝負という感じです。
単なる翻訳書ではありません。むろん、翻訳としてもきっちりとやったつもりですが − 日本語の文体も、本文は、なるべく著者の雰囲気を出すように努めました。読者の方々は、訳者後書きにいたってはじめて、私の文章の世界に引越したと思われるでしょう。 − 内容についても、できる限り調べを入れた上で訳しました。たとえば、エラスムスについて言及されているところは、全部ではありませんが、できる限り自分でまずそこで議論されているエラスムスの文を読んでから、その部分の訳にかかる、とか。
ですが、これは同時に単なる訳ではない、私の仕事です。そのことは大量の訳者後書きをお読み下されば、おわかりいただけると思います。
そもそも、ティンダルという人物のことを日本語で知っていただけるようにする、ということ自体が、私が執念をもやしつづけた事柄でした。16世紀、宗教改革期のイングランドで、聖書をはじめて原典から英語に訳した人物、と言ってしまえば、それまでですが、そういう単純なレッテルではすまない、世界史的に大変な存在の重みのある人物です。この人物のことは、知っておいて損はないというか、むしろ、現在の人類はこの人物のことをもっとよく理解する義務があるというか。少なくとも、今までの日本の西洋紹介、英語世界の紹介で、この最高度に重要な人物をほとんど無視してきたのは、非常にけしからんことでした。
まずは、訳者後書きをお読みいただければ幸いです。
第2刷では、多少の誤記、誤植が訂正してあります。
第1刷をお持ちの方は、下記あてに80円切手2枚(手数料+送料)を同封して御請求下されば(願わくは返信用の封筒も)、訂正一覧表をお送りします。(ただし、私書箱の郵便物をいつも直ちに入手するわけではありませんから、多少日数がかかるのはお許し下さい。)
そんな面倒な手続きを踏まなくても、このサイトに掲載すればよろしいのですが、やはり、この本をお持ちでない多数の方々にまで誤記一覧表だけをお目にかけるのも奇妙なものですから(私のこととなると、針小棒大に無茶苦茶な悪口を言いたがる輩がいますしね)。
連絡先:〒666ー8691 川西郵便局私書箱17 田川建三